2012年10月23日

「日本一才能のない漫画家志望(死亡)」の最後の記事

 僕はライフワークとして、ネットに残された故人のメッセージを追っています。その調査過程でとくに心に残ったブログやメッセージ、または商業誌に寄稿する段階ではない細かな気づきなどを、今後ブログにつらつら書き留めていこうと思います。

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sn-001.PNG ということで、今回は「日本一才能のない漫画家志望(死亡)」。漫画家志望の氏ムシメさんが日々の出来事を書き綴るブログで、最終更新の2011年1月4日の記事には、多摩川で母親と無理心中する直前に撮った対岸の街の写真がアップされている。文章はほとんどなく、写真に「街の灯り見てると切ない」と添えているだけ。

 過去の記事を辿っていくと、目の前にある貧困と将来の展望のなさを自虐しつつ、おそらく本気で絶望しながら、気分は激しく上下している。そんな苦しい感じが伝わってくる。死ぬ前日の1月3日でさえ、新年用のカレンダーを買ったエピソードや、休み明けの日常に対する不安を綴ったりして、色々な感情をとりあえず抱えて生きている感じがした。

 そして、数時間後の4日未明、おそらくは煩わしさを全部投げ出す心境で無理心中に至ったと思われるけど、その段になってブログをアップしているのが興味深い。最後の最後まで発信する欲求だけは残っていたように感じるけれど、一方で、リアクションは何も期待していないような気がする。双方向のコミュニケーションは求めないけど、一方通行でもいいからとにかく発信したいというような。

 正解は分からないけど、最後の日記にはとにかく無視できない存在感があった。そういう特殊な情報にブルーシートがかけられず、いつでも誰でも検索一発で出会えるのがネットのすごいところだと思う。望むと望まざると・・・あるいは、覚悟するとせざるとに関わらず、一般公開された情報はこれからもタブー視せずに触れていきたい。
posted by 古田雄介 at 12:45| Comment(4) | TrackBack(0) | 雑文、他 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。
氏ムシメさんは考え方、性格、生涯、漫画の作風、漫画の題材と内容などが伝説の女性漫画家である故・山田花子氏(1967~1992)に似ていた事から第二の山田花子と言った感じがしました。それにお互い20代前半というかなりの若さで自ら命を絶った事が共通していますし。
それどころかムシメさんは山田花子氏の事をブログで何度か取り上げていた事から影響を受けていた事が明らかです。山田花子氏の作品は今でも本人やムシメさんみたいに生きづらさを抱えている人々のバイブルといった存在になっていますからね……。
それにムシメさんも山田花子氏みたいに特異な才能(人や社会の暗い面や影の面を洞察・探求する力など)があって今後が期待されていましたしね。
Posted by 八坂 at 2015年09月19日 11:38
>八坂さん
こんにちは。
書き込みありがとうございます。
最初のタイトルが「ワーキングプア☆ステーション」でしたし、ムシメさんもそういう意思を持って活動していた感じですよね。こうして痕跡が残っているからこそ、残念さが色あせずに浮かびます。
Posted by 古田雄介 at 2015年09月19日 12:43
晩年の氏ムシメさんはもうネガティブではなく、達観してしまっている感じがしました。
それに氏ムシメさんは自分の事がとにかく嫌いで憎くてたまらなかったのでしょう。そう言った気持ちがブログを読んでいて伝わってきました。

八坂さんの言うとおり、私も氏ムシメさんは漫画家の山田花子に似ていると思いました。
性格がとてもネガティブだった事も似ていますし、ブログで公表していた四コマ漫画が山田花子が描いた漫画とテーマ・内容や絵柄が似ています。
それにいうまでもないように、氏ムシメさんも山田花子さんと同じように20代で自殺しましたしね。
Posted by ガンマ at 2015年10月26日 22:44
>ガンマさん
返信がおそくなりすみません。
私も、自分を好きになれない、ぎりぎりのところで信用できないという心の声が響いているように感じました。
時間ができたら、山田さんの自殺直前日記をじっくり読み返したいですねー。
Posted by 古田雄介 at 2015年12月01日 10:32
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